狼彼氏×天然彼女
カチャン──
久しぶりの実家は
以前と何も変わっていなかった。
「…親父は?仕事?」
「ええ。
今年は夏休み短いらしいの」
ふーん…
でも親父は
毎年、夏休み短いけどな。
「どうぞ、座ってください?」
実紅に椅子を差し出した。
「あ…はい」
「何、固まってんだよ」
実紅の隣に座り
問いかけてみた。
「…え?か、固まってなんか…ないよ?」
「じゃあ緊張してる?」
「し、してないよ」
カミカミじゃん。
言ってることと反応が違いすぎだっての。
「分かりやすすぎ」
「…う、うるさい。
そりゃ…誰だって彼氏んち来たら緊張する…でしょ」
「やっぱ緊張してんじゃん」
ゲシッ──
「いてっ」
実紅が思い切り
俺の足を踏んだ。
「…んだよ―…」
「わざわざ、
言わなくていい―…!!」
実紅の声は小さく
きっと母には
聞こえてないだろう。
それでも実紅は小さな声で俺の耳元でブツブツ文句を言い始めた。
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