MISS YOU
【淡い日々ー3】


「朋ちゃん?」








電車に入るとすぐに、
座席に座っていた
年配の女性が、
声をかけてきた。









「あ、おばさん…」







そこには、
隣に住むおばさんが
買い物袋を両手に
男の子を見上げていた。









「見ないうちに大きく
なったねえ!
隣座りい!」









さほど電車は混んで
おらず、
他にも座るスペースは
十分あったが、
わざわざ離れて座るのも
愛想がないので、
とりあえず隣に座る
ことにした。








「じゃあスミマセン
失礼して」








そんな言動に、
おばさんは笑い上げた。








「アッハッハ!!
礼儀も正しくなって
朋ちゃんは偉いねえ!」









「…おばさん。
今、高校三年ですよ?
もうすぐ卒業ですし…
礼儀も覚えますって。
それに、その朋ちゃん
ってのも、
この歳でちょっと…」








もう、
小学校とは違うのだ。








小さい頃、
遊びに行ったのは
覚えているが、
もうそんな子供ではない










しかし、
おばさんからしたら、
自分はいつまで経っても
子供に見えるらしい
< 3 / 117 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop