君だけに伝えたい

そうだった。
絵里は、
絵里は、
あたしが司を好きになる前から
ずっと、
ずっと、
司が 司のことが好きだった。

絵里とあたしは、すごく仲のいい友達。
恋の相談はもちろん
その他にも、
先生のこと、授業のこと、今日のテレビ番組のこと。

そのときから、
絵里はあたしに、
「司くんが好きだ。」
って言ってた。

あたしは、今になるまで
思いださなかった。

あたしは、司と一緒にいるだけで幸せで、幸せスギて、周りが見えなくなっていた。
絵里と同じ学校に来たのが、前まで嬉しくて仕方なかった。

分かっていた。
絵里の言う
『司くん』
がこの学校にいることぐらい。
でも、まさか
その
『司くん』
をあたしが好きになってしまうなんて。

思ってもみなかった。
考えようともしなかった。

司に夢中になって、
『絵里』
という存在を忘れていたのかもしれない。

絵里は、おそらく、あたしが絵里を裏切ったと思ってるのだろう。

だって、実際そうなんだ。

あたしが
『司』
を好きになった時点で、絵里を裏切ったことになる。




あたしは、今自分が犯した過ちを
どうすれば、
どうしたら、
許されるのか、
あたしは、分からなかった。

「えっ・・・、絵里。」

ガクンッ

あたしは、膝をついた。

「歩。今更気づいても遅いのよ。」
百花の冷たい声。

もう、
許されない。

あたしは、
完全に
完璧に
友達を
裏切った。




< 15 / 17 >

この作品をシェア

pagetop