君だけに伝えたい

「ゴメンッ・・・」

あたしは、教室の真ん中で頭を下げた。

しかし、絵里はそれを許すはずもなく、また怖い顔をした。

すると、絵里があたしの方に近づいてきた。

ガツンッ

!??

「・・・ッ、たぁ・・・・」

あたしは、歯を食いしばりながら言った。

絵里は、アタシの頭を思い切り殴ったのだ。

その衝撃であたしは、床に膝をついた。

「・・・絵里。どぅ、してぇ?」

あたしは、涙で声が出ないくらいになっていた。

あたしの真っ直ぐな視線を邪魔するように、涙がこぼれる。

声が、震えて説得力がなくなってきている。

「歩、どう?いじめられている気分は?」

・・・「いじめ」

そう、今あたしは、いじめられている。

いつも、あたしは助ける側だった。

いじめられているのを、見ているほうだった。

だから、
だから、
あたしが、その舞台に立つような、
いじめられるのを、
関係のないような目で見ていたことが。

あたしが、なる。
あたしが、その“ターゲット”になる。

「絵里・・・、どうして・・・。あたし・・・」

あたしは、下から絵里を見上げた。

「“どうして”って。そんなの決まってるじゃない」

そういって、あたしの制服のリボンを強引にひっぱられた。

絵里は、あたしの顔を見て言った。

「あんたが、嫌いだからよ!!??」

あたしに向かって、憎い声を出した。

「なっ、なんで・・・。あたし達、友達だよねぇ?」

ずっと、
ずっと、
友達だと思ってたのに。

あたしだけだった。
あたしだけだったんだ。
そうだったんだ。

がっかり。


バカみたい。


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