【詩】記憶の持続性
この声は…下から?
いや、上からだ。
 
見上げた空には信じられないほど巨大な月があった。
あの月が笑っていたのだ。
誰を?
この〈私〉を。
 
最初はクスクスと面白そうに。
次第に月は馬鹿みたいに声を上げて笑い出した。
何がそんなにおかしいのだ?
けれど、確かに月は、この〈私〉を笑っていた。
 
その場から逃げ出したくて辺りを見回した。
少し離れた場所に白い扉があるのに気付いた。
 
〈私〉はその扉に飛び付いた。

白い扉を開けた先には白い部屋があった。
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