奇蹟のはじまり
老婦人は何度も言いかけ

ては辞め、意を決したよ

うにまた頭を下げた。

『大変申し訳ありません

。貴方がたには数々の失

礼をしてきたにもかかわ

らず、この度は失礼を承

知でお願いがあり参りま

した』

「頭を上げて下さい。こ

ちらとしてもいきなり謝

られても困ってしまいま

す」

俺が声をかけると老婦人

は恐る恐る頭を上げまし

た。

老婦人、もとい翔の祖母

は目を伏せてこちらを見

ようとはしません。

「お嬢様のことですか?



老婦人は目に見えて体を

硬直させました。

『そうですね。娘のこと

ももちろんそうですね。

何から話せば良いのか』
< 113 / 127 >

この作品をシェア

pagetop