奇蹟のはじまり
智Side

次の日、かずを向かえに

俺はかずの家に向かいま

した。

あたりはすっかり冬で突

き刺さるような寒さに身

がすくみました。

『智』

後ろから声をかけられま

した。

「あれ、何でここにいる

の?」

『待ち遠しくって早めに

家出てきました』

かずも寒さに身をすくめ

ながら言いました。

隣を歩くかずを見ている

と、今は亡き奥様を思い

出します。血の繋がりは

なかったはずなのにふと

した時、仕種や表情が驚

く程奥様に似ています。



奥様は強くて優しい人で

した。

いつも俺にもかずにも本

当の子供たちのように接

してくれました。
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