偽りの仲、過去への決別
松山達3人はカズのところに急ぎ足で向かった。 婦長はその場に立ち尽くしていた。「やっぱり松山先生は私のこと気付いていたんだ。」 婦長はため息をついた。「それにしてもなぜ坊ちゃんはカズ君が目を覚ましたことを知っていたのかしら。」
婦長は首を傾げた。 松山達3人はカズの病室に入った。意識がない時は、個室にいたカズであるが、この病室は見知らぬ患者三人とカズを合わせて4人部屋にいた。 カズは松山達が見舞いに来ることを楽しみにしていた。
「部屋変わっていたからびっくりしたよ。」 松山は笑った。 洋二はカズのベッドに腰掛けると、松山も腰掛けた。 結衣は立ったままカズを見ていた。 「よかったね。」 結衣は心配で夜寝れないこともあった。睡眠不足で学校に行く日もあった。
松山が必死になってカズの見舞いに行く姿を見て羨ましかった。 いくら内に秘めた心があっても行動が伴わないとストレスだけが蓄積され、より一層行動を起こすのに困難がつきまとってしまう。
素直になれない心と何かをやらなければならない心が同居してしまい、判断を鈍らせてしまう。 行動力は口で言うほど容易ではない。悩み、苦しみ、何回も何回も試行錯誤して行動に移すことができる。 不安を払拭するのに時間を使い、運命を逃す人もいる。
でも考え、反省し、後悔したりするからこそ、人間は成長する。 「でもこれからが大変だよ。カズ」 洋二は意味深な発言をした。 「わかっているよ。あの日ことだろう。」 松山はいよいよ恐れていたことが始まった。 「学校でヒロが言っていたよ。自分の兄貴達が被害者だって。」 洋二はカズに言った。 「そうか。あいつもう自分を守るためにそんなこと言っているんだ。」 カズはヒロの顔が浮かび上がっていた。しかしカズは松山の様子を伺っていた。
松山はやはりヒロがカズをこんな目に合わせたことを、カズの様子で察知した。 「どうするんだよ、カズ。」 洋二は松山には悪いが、どうしてもヒロが許せなかった。あれだけの余裕を見せられ、反省もしないヒロがいつも松山の側で偉そうにしている姿が浮かび上がっていた。
< 100 / 132 >

この作品をシェア

pagetop