偽りの仲、過去への決別
カズはだからこそ本当は何を考えて生きているのかわからない大人に囲まれている自分が不安でしょうがなかったんじゃないんだろうか。 カズはだからこそ毎日毎日を後悔しないように、知らず知らずのうちに精一杯いきようと思った。両親を含めた大人は何か得体の知れない生き物しか見えなかった。カズはだからこそ本当は何を考えて生きているのかわからない大人に囲まれている自分が不安でしょうがなかった。
情報があまりない時代、少しでも善いことを学ぼうとしていた時代、自分のわからないことを謙虚に受け止めて、人と人との繋がりで生きていた時代。今現在は情報が氾濫し、何が良くて、悪いかわからなくなっている。確かに情報を先取りして富を築く人達もいるが、それは一部の人達の話しであり、大多数の人達には縁がないこと。 カズもその一人だ。カズが成長するにしたがって、世の中は凄いスピードで情報化時代に突入した。 生活は便利になり、良い世の中になったと思った。
カズは父親の仕事の都合でせっかく慣れたこの土地を離れなければならなくなった。カズのやっと落ち着いた心が又揺れ始めていた。ただひとつだけの救いは大好きな祖父の近くに引っ越しすることだ。
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