偽りの仲、過去への決別
ヒロは松山の様子を見る為に廊下から覗いていた。 松山のクラスでの孤立はヒロにとって愉快なことであった。 カズに肩入れすればする程松山は困難な立場になる。 ヒロはこれで松山が痛い目に合うことを望んでいた。
そうすれば、いずれ1人ぼっちの松山の心をヒロに向けれると踏んでいた。 松山はこの日も病院に行った。しかし病院の待合室で新人看護婦に捕まった。「今日も来るなんて。まったくあなたのおかげで私婦長に怒られるし、どうしてくれるのよ。」 新人看護婦は松山に不満をぶつけてきた。
新人看護婦は婦長の命令で松山がやって来るのを待合室で待っていた。 新人看護婦はまさか今日もやって来るとは思っていなかった。
しかし婦長は、松山がやって来ることを読んでいた。「ねえあの患者さんに会っても何も話せないのにどうして来るの。迷惑とは思わないの。」 新人看護婦は聞いた。 「じゃあどうして会いに来ちゃいけないの。」
「面会謝絶だからよ。わかるでしょう。」 「わかっているよ。でも会いたいし、大切な友達だから。」 松山はどうにかカズと会えないか模索していた。しかし今日は無理だと判断した。 仕方なく松山は病院を去ろうとした。すると新人看護婦が松山を呼び止めた。「ねえ~よければ話してくれない、あなたと患者さんの話し。」 松山は話した。カズとの楽しかった日々を。 新人看護婦は聞き入っていた。
松山は嬉しかった。はっきり言うと誰かに話しを聞いてもらいたかったのかもしれない。 家では松山先生も母親も何も言わなかった。 松山の気持ちを第一に考えてくれているのが、ひしひしと感じていた。 松山は今日はおとなしく帰るふりをした。新人看護婦は松山の話しを真剣に聞いていた。 松山の心情を察してか、今日は文句を言われることはなかった。 「さて今日は帰るとするか。」 待合室の席を立つと出口に向かった歩き出した。
「ちょっと待って。一応婦長に連絡しないといけないから。」 新人看護婦は松山の心情に同情はしたが、仕事は仕事だと割り切っていた。「悪いけどナースステションに来てくれる。」「そんなにあの婦長が怖いんだ。」 新人看護婦は否定をしなかった。
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