先生が最初で最後だよ
「…………おいっ!
何の薬か俺が聞いてるだろっ。
生意気生徒、答えなさい。」
神里が理奈に弁当を差し出す。
《手作り弁当残り 8個》
「食べきれるの?こんな量。」
理奈は卵焼きを一口食べる。
美味しいなぁ、これ。
「質問に答えろよっ」
神里が呆れた顔で理奈を一瞥した。
先生の長い睫毛が、頬に影をつくる。
「あぁっ。
ビタミン剤。
肌の見方です。」
ホントは病気の薬だけどね。
そんな事先生には関係ないし。
「ふぅ~ん」
神里が興味無さげに返事をした。
弁当をモグモグ食べる姿を、無意識のうちに理奈は無言で見ていた。