Secret Lover~我慢できない!~
蓮がこの部屋にやって来て、早いものでもう1年経つ。

え?俺はホモなのかって?

はじめは俺自身そうなのかと悩んだこともあった。

だが違う。

蓮は身なりこそゆったりしたスウェットとTシャツという男のような格好をしているが、れっきとした女の子だ。

色々と事情があって男と偽って入学してきたのだ。

俺も最初は全く気付かなかった。

だが女だと気付いてしまうと、蓮の容姿は男とあまりにもかけ離れていることがよく分かる。

思い込みとは恐ろしいものだ。

俺は相部屋の先輩として、こいつが周りから女だとバレないよう必死にフォローしてきた。

でも…その、まあ…男と女が一つ屋根の下で生活するわけで…。

次第にお互いに惹かれて合って(というかほぼ俺が猛アタックした結果)今では晴れてラブラブというわけだ。



そんな順風満帆な俺達にも問題がある。



…いちゃいちゃできないのだ。



春休みにやっとのことで念願だった蓮の初めてを頂いた。

道のりが長かっただけにその時は物凄く感動した。

恋愛に疎い蓮もこれで少しは積極的になってくれる…と密かに期待していたのにその真逆だった。

俺が少しでもそういう甘い雰囲気に持って行こうとすると、さりげなく誤魔化されたり、最悪のタイミングで邪魔が入ったりするのだ。

これでも結構ゆっくり段階を踏んで慣らしたつもりだったのだが、蓮にとってはやはり衝撃的だったようだ。

……色々と。

…というわけで初めて蓮を抱いてから全く動きが無い。

付き合い始めたばかりのカップル並にぎこちない。

俺は忍耐強い方だと思っているが、一応健全な高校男子なわけで。

大好きな子と四六時中同じ屋根の下で生活しているのは、もはや拷問のようなものだ。

今はもう4月半ば。

あれから1ヶ月近く経っている。

一度甘い蜜の味を知ってしまった今、正直前よりも理性を保つのがきつい。
そりゃあ誰だって好きな子と両思いになれたら、もっとって欲が出てくるだろ?

もっと一緒にいたい。

もっと近付きたい。

もっと知りたい。

もっと大事にしたい。

もっと好きになってもらいたい。

……もっと触れ合いたい。
…残念ながら蓮はそうでもないみたいだけど。

俺は蓮を怖がらせないように極力平静を保つ努力をしつつ、さりげなくタイミングを窺っているのだ。
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