心失恋
[一生]





その言葉が頭にずっと残った。
さすがにいつも強い母も動揺を隠す事が出来ていなかった。
二人で何が何だかわからない状態で診察室を後にした。

病院の外に出た母は私の顔も見ずに
「大丈夫、私がついてるから」
そう言うのが精一杯だったと思う。
母親の強さ、優しさを15歳ながらに感じた瞬間だった。


そして次の日
早速大きな病院に行った。
悲しい事に同じ事を言われ、東京の大学病院ぢゃないと治療は受けられないと伝えられた。
私と母はまた重くのしかかった現実を背負い病院を後にした。


家に帰った母は、何も言わず、入院の準備をしていた。
手伝う事もできない私に母は言う。
「大丈夫だから」
まるで自分にも言い聞かすかのように…












そして、私は何も考えたくなくて家を出た。
おもむろに携帯を手にとった。
親友の名前が画面に出る。一瞬戸惑ったが電話をかけた。


「もしもし」


………………


「みか?どした?」



……グスっ……グスっ…………


涙をとめる事ができなかった。

「何も言わなくていいよ」
親友はそう言ってただただ私の泣きじゃくる声を聞いてくれた。
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