勝利の女神になりたいのッ!~第2部~


佐和さんの腕の中で小さく震える体。


自分の幸せを優先させたいなんて一瞬でも考える自分が怖い。


ぎゅっと瞼に力を入れて佐和さんにしがみつく。

どんなに幸せでも私は自分の目的を忘れてはいけない。


「2人の幸せな人生を見ること以外に私の幸せはない」


自分に言い聞かせるように唇にのせた言葉を放つと


「それは寂しいな」


私の髪に寄せられた唇から言葉が伝わった。


――と同時に私を包み込むように体を囲う彼の腕に力がこめられた。


ぎゅっと抱き寄せられ額に彼の唇が落ちてくる。


「起きてたの…?」


彼の胸に埋めていた顔を上げると私を見下ろす瞳。


「紫衣は自分の幸せは望まないのか?」


チクリ――


佐和さんの言葉に胸が痛んだ。


望まないんじゃない!


望んじゃいけないんだ。


だって…


「私がここに来たのは自分が幸せになるためではないから…」


自分に言い聞かせるように言葉にして、溢れる涙。


込み上げる嗚咽を押し戻すだけで精一杯で涙は頬を伝ってシーツを濡らした。







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