勝利の女神になりたいのッ!~第2部~


私がここに来たのは、目的は、お兄ちゃんを救うため。


歴史を知り、お兄ちゃんを愛し、側にいてくれる人と入れ替わったのは、お兄ちゃんの運命を変えたかったから。


その気持ちは今でも私の心に強く残っている。


だけど、私は知ってしまった。


人を愛するという気持ちを…


慣れない生活を送りながらも願い続けたのは、お兄ちゃんの幸せ。


ただ、お兄ちゃんの未来が明るければ何も望むものはなかった。


けれど、私を取り巻く環境は少しずつ変わっていった。


本当のことを知っても私を親友と言ってくれた芽衣ちゃん。


佐和さんとも出逢った。

彼との出逢いがなかったら、私は幸せだと言うことが出来たのだろうか。

愛し、愛されて生きる喜びを知ることなどなかった私は、この世界で生きることに幸せを感じたのだろうか。


ただただ、戦国の世を懐かしみ、2人の幸せを祈りながら生きたであろう自分の人生は、佐和さんと出逢ってから、少しずつ変わっていった。


だけど、幸せを感じれば感じるだけ自分の心の変化を感じて怖くなる。


もしかしたら、この先…


私は戦国の2人の幸せよりも自分の幸せを優先してしまうかもしれない。

佐和さんと共に生きる喜びだけを見つめてしまうかもしれない。


佐和さんさえいてくれたら…


そんな風に考えてしまう自分が…




「……怖いよ。」





< 317 / 354 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop