勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
私がここに来たのは、目的は、お兄ちゃんを救うため。
歴史を知り、お兄ちゃんを愛し、側にいてくれる人と入れ替わったのは、お兄ちゃんの運命を変えたかったから。
その気持ちは今でも私の心に強く残っている。
だけど、私は知ってしまった。
人を愛するという気持ちを…
慣れない生活を送りながらも願い続けたのは、お兄ちゃんの幸せ。
ただ、お兄ちゃんの未来が明るければ何も望むものはなかった。
けれど、私を取り巻く環境は少しずつ変わっていった。
本当のことを知っても私を親友と言ってくれた芽衣ちゃん。
佐和さんとも出逢った。
彼との出逢いがなかったら、私は幸せだと言うことが出来たのだろうか。
愛し、愛されて生きる喜びを知ることなどなかった私は、この世界で生きることに幸せを感じたのだろうか。
ただただ、戦国の世を懐かしみ、2人の幸せを祈りながら生きたであろう自分の人生は、佐和さんと出逢ってから、少しずつ変わっていった。
だけど、幸せを感じれば感じるだけ自分の心の変化を感じて怖くなる。
もしかしたら、この先…
私は戦国の2人の幸せよりも自分の幸せを優先してしまうかもしれない。
佐和さんと共に生きる喜びだけを見つめてしまうかもしれない。
佐和さんさえいてくれたら…
そんな風に考えてしまう自分が…
「……怖いよ。」