雪情
【車酔いー19】


「誤発かも
しれませんね……」



「誤発?

それはないだろ。
プロの猟師なら
一般人を撃ってしまう
ことはないだろう」



「そんなことも
ないですよ。

プロだから
誤発ということも
あるらしいですよ。

知り合いに、
その様な人いますから」



「そんな人いるのか?」



「プロだからこそです。

アマチュアよりも
物音に敏感な分
すぐに発砲準備が
できますし、

躊躇していたら
その一瞬で
命を落として
しまいますよ。

それ故に
プロは誤発が多いと
聞きます」



内藤はそう説明すると
山本も
納得できたようである。



「そうか、
やけに詳しいな」



「知り合いからの
受け入りですよ」



「そうだったか。

にしても、
逃げながら撃つなんて
余程雪男が
怖かったんだな」



逃げながら撃つ?



ここで内藤は
重要なことに気付いた。



「あ……ってことは
誤発の線はないです!」



「ん?何でなんだ?」



「誤発は
あくまで周りに茂みなど
障害物があって、

急に姿を見せた
場合のみのことですよ。

でも
さっきの話を聞けば
周りは何もない上、

さらに雪男から逃げて
途中振り向き発砲したと
言うことは、

相手を分かっていての
発砲になりますよ」



「あー!
確かにそうなるな」



突然雪男は現れたのだが

平野なので、
茂みからいきなり
飛び出してきたのではない。



そのことから
誤発にならないことを
内藤は気付いたのである



「となれば、
なぜ発砲したのかが
分からなくなりますね」



「やっぱり余程
雪男が怖かったんじゃ
ないか?」



「う~~ん」



と内藤は考え込んで
しまった。



一体彼は
逃げている途中

何を見て
発砲してしまったの
だろう?



いくら考えても
事実が掴めるワケでも
ないのだ
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