雪情
【二人目の死者ー4】


「行かせませんぞ!」





とドアの前に立ち、

外に出ないように
両手を広げた。






もうこれ以上
犠牲者を出したくない
のだ。






その想いが
田崎を駆り立てる。





「行かせてやれ」







突然田崎の後ろから
声がした。






振り向くと
白井がこっちを見ながら



「そこを
通らせてやれって」





とシッカリ田崎の目を
見つめ、
言っている。






「お前まで
そんなことを言うな。

これ以上
犠牲者を
出したくないのが
分からんかね!?」





バ!!!






その瞬間

田崎の隙を付き
小川は外に飛び出した!






「あ!小川さん!!」






追いかけようとする
田崎の腕を、

白井は掴んだ。






「よせ!

見失ったら
あんたが迷うだけだ!」






「バカ、
白井離さんかい!!」






「向こうは山のプロだ!

この辺も
熟知しているから
迷いはしない!」






もう完全に
小川の姿が見えない。






「ああ……
行ってしまった」






田崎はガックリとした。






そこに
白井が話しかける。





「いいか、
今あんたが追いかけたら
俺ら二人はどうなる?

あんたがまとめ役だろう」







「ワシなら
すぐ追いつく自信が
あったよ」






それを聞くと、
白井は呆れたように言う







「まだ
分かっていないのか?

まず、
かけている想いが
違うんだ。

追いついたところで
何ができる?

例え
俺ら全員でも
アイツを
止めることなんて
できない!」
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