雪情
【唐辛子団子ー2】


(もう一度
あそこに行くぞ)




小川は
右にある斜面を降り、

洞窟に
行ってみることにした。




ゆっくりと
斜面を滑り降り、

目の前に洞窟が見えた。




やはり皆で来た時と、
一人でいる時の
洞窟の雰囲気が違う。




普段なら
絶対に一人じゃ入りは
しないが、

今は別であった。




恐怖を微塵にも感じない
小川は、

堂々と洞窟に
入っていった。




(今度こそ…
今度こそ何か居ろよ…)




中は静かなもので、

懐中電灯もないので
ほとんど何も見えないが

だんだんと
目が慣れてきて
細かいとこも
見えるようになった。




「何もない……」




と言うように、

小川の想い空しく
先程と変わらぬ
風貌であった。




やはり
ここには何もないの
だろうか?

小川は諦めて
ここを出ることにした。




外に出て、
またこの坂を登るのは
面倒くさいが、

今はそんなことを
言ってられない。




先程と同じように、
木をうまく使って
坂を上り、

また林道に戻ってきた。




(そういえば、
ここより先は
まだ下ってねーな……)




と小川は
下りの方を
ジッと見つめた。




(行ってみる
価値はあるな)




ここから更に
林道を
下ってみることにした。




どんどんと下って行く
小川だが、

実はこれは大変である。




山というのは
登りの方が
体力を使うと思われる。




しかし、それは違う。




実は下りの方が、
登りよりも
疲れるというのを
ご存知だろうか?




しかも、
それだけではない。




今はさらに
足止めする雪と、
もの凄い強風が
備わっている。




風の方は
まだ木によって
遮られているものの、

下りの雪道は
着実に小川の体力を
奪っていった
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