雪情
【強盗殺人ー3】


それと、
大久保も小川の格好に
異変を感じた。







「そういえば、
確か小川さん
帽子も被ってここを
出ましたよね?

今は被っていませんね」







小川は
帽子までも被っておらず

髪の毛は
スッカリ雪で濡れている







「確かに
それも気になるが、
それよりも銃の方が
心配だね。

もし雪男の手に
渡ったら…」






「そうですね…」






人を簡単に殺せるほどの
怪力の持ち主に、

銃など加わったら
まさに鬼に金棒である。







そのことが
田崎を不安にさせた。






「でも、大丈夫ですよ。

二回とも
雪男は銃を持って
行かなかったじゃ
ないですか」






大久保はそう言うが、
確率的にそうであって、
持っていかないという
保証はない。







そんな心配をよそに、
白井は気楽に言った。





「おい、お二人さん。

雪男に銃を奪われたとは
限らないだろ」





「どういうことだ?
白井よ」





「もしかして、
どこかに銃を落としたり
したかもしれないだろ?

悪い方に考えるのは
良くねーぜ」





それならば
心配に越したことは
ないが、

確信が持てない。





「お前はいつも
ノー天気だな。

そうとも限らんだろ」





と田崎は
考え込んでしまった。





小川は
雪男に襲われたの
だろうか?





それはいつ?どこで?





そして、
なぜ銃も防寒具も
身に付けていないのか?





頭の中で
様々なことを考えて
いると、


「おい、
いくら考えても
意味がないだろ?

別に死んだわけじゃ
ないんだから、
意識が戻ったら
聞けばいいじゃないか」





それもそうである。

死体に聞くわけでも
ないのだ
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