雪情
【火で灯す闇ー15】


「停電…?」







白井のその言葉に、
田崎はやっと理解できた







ただ電気が
消えただけであったのだ







「そうか停電か。

ワシはてっきり
意識でも失ったのかと
思ったよ」







「なんで
意識失わなきゃ
ならねえんだ。

バカだな」







「バカとはなんじゃい」







暗闇での会話は、
何か面白い気分である。







全くの何も見えない
暗闇相手に、

白井と会話して
いるのである。







「しかし、暗いのう…」







「すぐに目が慣れる。

人間ってのは
そんなもんさ」







と白井はそう言うと、
どこかに行ってしまった







それは、
移動したことが
見えなくとも
気配で分かった。







一体
どこに
行ったのだろうか?






「おい、
こっちに来いよ」








そう白井の声が聞こえた
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