雪情
【火で灯す闇ー16】


その声の方向に向くと、
白井の姿を
捉えることができた。






「なるほど、
ここなら明るいわい」






それは、
雪の明かりで
ぼやけている
窓際であった。







白井に隣に座ると、

一緒に窓の外を
眺めてみた。







吹雪とは言え、
雪は風情があっていいと
田崎は感じていた。






「確かに
こんな風に
雪を眺めるのも
悪くないね」







田崎は
いつもの白井の気持ちが

何となく
分かったような
気がした。







すると白井が
ポツリと呟いた。







「この雪を見るとな……

いつも
過去を思い出すんだ」






「過去…かね?」







「ああ、
過去の酷い仕打ちを
受けた刑事に比べたら、

あんたはいいやつだ。

最高の刑事だよ」







「な、なんだね、急に」







田崎は
少し照れながらも
答えた。







しかし、
白井は
本気で言ったようである







「あんたになら
俺の過去を全て話せる」






白井は、
自ら自分の過去を
語り始めた。








外は真っ白な雪で包まれ

今、
白井の過去が
溶け始めていった…
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