雪情
【誘惑ー9】


「ワシは
小川と川上で
隣の部屋で寝るから、

大久保は代わりに
ここで刑事さん達と
寝てくれ」




「あ、はい
分かりました荻さん」




なんとか
荻原は小川を連れて
隣の部屋へと行った。




川上も何も言わず、
静かにこの部屋を去った




「ふう、
なんとか収まったわい」




とひと段落ついて
田崎はホッとした。




大久保は心配そうに
聞いてきた。




「だいたいのいきさつは
分かります。

白井さん大丈夫ですか?」




白井は静かに肯いた




「刑事さんも
お休みのとこ、
起こしてすみません
でした」




「いや、
大久保さんが
謝ることではないですよ」




それに、
おかげで田崎の眠気は
スッカリなくなった。




これ以上横になったら
また眠くなってしまう
ので、

田崎は
起きていることにした。




それに対し
白井はまた横になって
寝始める。




「やれやれ、
スッカリ目が覚めて
しまいましたな。

大久保さんは
寝直さないのですかな?」




「そうですね…
いや、私も目が覚めて
しまいました」




大久保は
軽くあくびをしながら
答えた。




「えらい騒ぎでした
からなあ、

小川さんが恋人のことで
あそこまで怒るとは
ワシはビックリしたよ」




「小川さんは
プライドがとても高い人
ですから、

川上さんに
「あっちの部屋に
行くな」とは
言えなかったのですよ」




とにかく
大事にならなくて
よかったと
田崎は胸を撫で下ろす。




だけども、
白井はいつも無表情だが

時に先程のように
感情を見せることがある




以外に感情的なのかも
しれない。




やはり犯罪者にも
人並みの心があるのだな

と田崎は思った
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