雪情
【伝説の開始ー12】


ただひたすら待ち
時が過ぎる。



5分………
10分……
15分……



そして、
20分ほど経ったの
だろうか?



依然、
荻原は戻らない。



「少し遅くないかね?」



「確かにそうですね。

しかも
荻さんはあまり
長く話す人じゃないのに」



「だが、
仲間の説得だから
長くなるんじゃない
ですかな?」



「まあ、
それもそうですね」



すると、
そこで小川は
立ち上がった。



「俺が様子を見て来る」



しびれを切らしたのか、
妙に落ち着きがない。



だが
止める理由もないので、
大久保は
小川に任せることにした



「あ、はい
じゃあ
お願いします小川さん」



その言葉を背に
小川は外に出て行った。



「やはり、
川上さんのことが
気にかかるようですな」



「そうですね。

彼は川上さんに対して
本当に純情のようですし」



「まあワシでも
見れば分かるくらい
だしな」



「私も
様子を見てきますよ」



と大久保は外の戸を
開ける。



「大久保さん
待ってください。

そんな大勢で行ったら
また追い出されますよ」



「大丈夫ですよ。

少し様子を見て
すぐに戻ってきますから」



まあ軽く様子見なら
いいだろう。



「そうですか。

では大久保さんも
気をつけ……」



と田崎が言いかけた
その時、

かすかだが
ドンと鈍い音が聞こえた。



「なんだね今の音は!」



田崎がそう言うと
大久保は答えた。



「銃声です……
間違いありません、
今のは猟銃の銃声音
です!!」



「何!!」



田崎は靴も履かず、
飛び出すように
出て行った。



こういうことには
いち早く行くのが、
刑事の習性という
ものである。



大久保も白井も
急いで田崎の後を追う
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