雪情
【小さな応援ー5】


「んで、
これから
どうするつもりだ?」






「分からんよ、
とにかく川上さんを
説得できればいいが…」






「なあ…
思ったんだけど、
あの女を説得させるより

直接犯人を捕まえた方が
手っ取り早くないか?」






白井は
とんでもないことを
言い出した。






そうである。





犯人を捕まえてしまえば

川上を説得させる
必要はないのだ。






その話を
大久保は聞いていたのか

身を乗り出してきた。






「それは
いい考えですね!!
白井さん
すばらしい案ですよ!」






「そうだろう?

その方が絶対いいって」






「いや~
何で早くこのことに
気付かなかったの
ですかね」





と大久保は
乗り気であった。






しかし
それに対し、

田崎はあまり
気が進まない
顔をしている。






「それは危険ですぞ。

この雪で視界も悪いから
逆にこちらがやられる
可能性もありうる」





すると白井は



「なら、
この吹雪が
もう少し止んでからなら
いいんだな?

どうせ
完全に吹雪が止んでも、
あの女が一緒じゃなきゃ
下山もできないだろうし」






確かにそうである。




いくら今晴れたとしても

川上一人置いて
下山するワケにも
いかない。






雪男を捕まえるまで
あの小屋を
離れそうにないので、

結局自分達で
犯人を捕まえるしか
選択肢はなさそうだ。






もちろん
犯人を捕まえるには、
田崎達も
多少なりとも危険は
あるが、

川上一人で
立ち向かうよりかは
マシである。






田崎は承諾することを
余儀なくした
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