雪情
【小さな応援ー4】


白井は起きたばかりだが

周りの変化は分かる。





いやに皆落ち込んだ
感じで、

さらに川上の姿が
見当たらない。






なんとなく予想はつくが

あえて白井は
田崎に聞いてみた。




「どこ行ったんだ?
あの女………」






田崎は
あまりいい顔をしない。





白井に話さないワケにも
いかないので、
田崎は理由を言った。






「また小屋に
行ってしまったよ………
我々も止めたのだがな」






「また小屋に?
理由は知らないが
あの女もバカだな」





!!






今の一言で
小川が
また激怒すると思い、
田崎は焦った。






しかし、
小川は
聞こえていないのか
何も反応をしなかった。






いや、
聞こえていたとしても
怒る元気も

小川にはない感じで
あった。





「川上さんは
殺された荻原さんの
仇をとるため、

また小屋に
行ってしまったんだ。

だから、
そんな悪く言うもん
じゃないよ」





「ほ~~。
でもよく見逃したな?

アンタなら無理やりでも
ここから出そうとは
しないと思ったんだがな」




田崎は頭をかかえ




「いや、
我々は止めたが
銃を突きつけられたんで
つい何も言えなくなって
しまったんだよ」





「そんなことまで
したのかあの女。

まあ俺には
関係ないがな……」





「やはり川上さんは、
荻原さんが死んだのは
自分に負い目があると
責任を感じているのだよ」




「直接は関係ないって
俺が言ってやったのに…」





白井は
やれやれとため息を
つく感じで言った。




「とにかく
また振り出しに
戻ったわけだ」





と田崎は肩をすくめた
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