比丘尼の残夢【完】
あは、と笑ってみたら、ご主人様はものすごく微妙な顔をした。


「お前さんが元気になったら一緒に食おうと思ってたのに... 
なんなんだ、俺の優しさはこんな仇で返されて良いものなのか... 」

食べるって言ってくれたら良かったのに。


「戸棚にあったおやつで良いよ。持ってきて」

「... !!??」

「それも食ったのか!?」

「それは昨日の夜ですっ! 申し訳ごぜえませんっっ!!」

あのお粥のような食べ物だけでは足りなくて、眠れなかったからつい。


「俺を餓死させる気だな... ここで兵糧責めにあったのは初めてだ。
なにか対策を練らんと殺される... 」

パタリとご主人様は倒れた。

死にたくないようだ。

良かった。
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