比丘尼の残夢【完】

※scene14『君が大人になる前に』

相変わらず、ご飯が美味しい。

田舎は水が良いせいか、炊きあがる白飯の色つやが違う!

がっついていたら、兄ちゃんのお嫁さんがお茶を置いてくれた。


「今年は豊作だったからいくらでもあるでよ。たんとお食べ」

「わーい!!」

言われなくてもそうするつもりだ。


兄ちゃんは晩酌に忙しく、こんなに美味しい白飯には手もつけない。

もったいないことだ。

しかし、その白飯を狙っているのは私だけでなく、弟たちも... そして兄ちゃんの子供とも目が合う。


「...... 」

ご主人様と二人きりの時はなかった、懐かしい緊張感だ。




ご主人様のところから田舎に帰ってきて、1年がたった。

最初で最後のお見送りをしてから、思い出残る離れを丹念にお掃除して、私は振り返ることなくあの場所を後にした。
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