「金剛戦士Ⅱ」西方浄土
李は、念のために常に注意をしておいたほうがよいだろうと、午後に開催される全体会議の後に、もう一度、新発見の彗星か確認に来るので、それまでには結果が出ているかどうか問うと、科学者は、おそらくは判明しているでしょうと答えた。

李は全体会議の後に、もう一度来ることとして、通信本部を後にした。


昼食を取ろうと、レストランに向かう途中で、李は二年前の事を思い出していた。

二年前に無機物生命体が地球に接近しつつあった時に、地球に飛来して来るまで、それまでの観測結果から、ずっと誰もが小惑星群だと思い込み、無機物生命体だとは、夢にも思わなかった。

無機物生命体の来襲など、実際に想像し難い事ではあったのだが、それでも、ただ一人だけ小惑星群では無く、無機物生命体ではないかと予見した人物がいた。

それはエウロパ観測ステーションが機能不全に陥り、どうにか緊急脱出用宇宙船で脱出に成功し、無機物生命体が地球に侵入して来る直前に交信が回復した、エウロパ観測ステーションのクルーの一員であった郁江である。

無機物生命体が地球へ侵入して来る直前の交信では、エウロパ観測ステーションの隊長であった直から、郁江が考えつくに至った、小惑星群は無機物生命体であるとの仮説の情報を本部の職員や補佐官、科学者、軍の作戦担当者などが揃っている通信本部で、李は直接に彼と交信して、情報を得ていたのだった。

情報を通信本部で直接聞いた科学者の中には、ただちに情報を世界中の各国政府と全軍に伝えるべきだと訴える者もいたのだが、李は躊躇してしまった。

なぜなら情報は、あくまで仮説であり、仮説の情報を流すと、かえって無用の混乱を招きはしないかと危惧したのである。
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