泡沫-an empty dream-
青く澄み渡った空の遠くを見つめ、私は言った。



「行きたいっていう気持ちはさ、到達地点に対する積極的な衝動から引き起こされるものじゃん。

そうじゃなくって、ただ、逃げたい。どこでも良いから逃げちゃいたいって。


…ここ以外の場所ならどこでもいいって、本気でそう思ってた。」






「―――逃げちゃいたい、か…。
まさに今の俺も、そんな気分だな。」



彼は溜め息交じりにそう言うと、上半身を起こし、どこも見つめていないような目をこちらに向けた。




私には、彼の言葉の意図するところがわからなかった。


「それ……どういう意味?」

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