アクアマリンの秘密
「当然死ぬ。
『自分の命と引き換えに、そして全ての魔力を使い果たさなければ』この魔法は成立しない。
王家からディープオーシャンの共鳴石を託されていた燈龍から共鳴石を奪い、その燈龍にも死に値する傷を負わせることが出来た。
これでイアルたちのしたかったことは全て終わったらしく、共鳴石を持ったまま逃げて行った。
だがディープオーシャンに残った傷は大きすぎた。
当然…白斗は蘇りの魔法を行おうとした。
それを止めたのは…。」

「燈龍さん…だったんですね。」

「ああ。
息も絶え絶えで、血まみれ。
白斗を気遣う余裕なんて、体力的にも精神的にもあるはずがなかった。
だが…燈龍は止めた。魔法を使おうとした白斗の手を。
あの時確かに…『生きろ』と言ったんだ。」

「…っ…。」


あたしの両目からボタボタと零れ落ちる涙。
…泣きたくなんかない。
それでも涙が溢れて止まらない…。


誰の気持ちを想っても…苦しくて辛い。

自分の目の前で大切な仲間を殺された白斗さん。
自分で自分の危険に気がつくことが出来ていれば…って自分を責めたに違いない。
だからきっと…自分の命を犠牲にしてでも助けたいって思ったんだよ。

燈龍さんだって…もっと生きたかったはず。
苦しんで死にたくなんかなかった…はず。
でも…どんなに自分が苦しくたって…白斗さんの命を犠牲にして、自分が生きることのほうが辛かったから…止めたんだ。白斗さんの魔法を。



< 122 / 678 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop