アクアマリンの秘密
「蒼刃…?ホント…なんかヘンじゃない?」

「…うるせぇ。こっち見んな。」

「なんでよ?」

「なんでもだ。」

「あっ!!もしかして…。」


やべっ…気付かれ…。


「あたしの初恋話聞いて照れちゃったの?」

「はぁ?初恋ぃ?」

「え…あ、まぁ…あたしにはその断片的な記憶しかないからこれがホントのホントにあたしの初恋かどうかは分からないけど…
でも…この記憶だけ残ってるってことは、よっぽどあたし、忘れたくなかったんだと思う。このこと。
あたしを慰めてくれた優しくて温かい手も、その言葉も…。
だからね、きっとこれがあたしの初恋。」


あまりにも迷いなく、曇りなくそう言うから…信じてしまいたくなる。
これが彼女自身の今、俺へと向かう気持ちなんだと…。


でも…もし、その相手が俺だと分かったら…。



「なぁ…。」

「ん?なぁに?」

「…もし…そいつが思いがけない奴だったらどーすんだよ?」

「思いがけないってたとえば?」

「…たとえば…緑志とか。」


たとえに、自分に一番近い肉親を選んだ。


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