アクアマリンの秘密
* * *

最初はとても嫌いだった。

朝霧紫紀という男が。


同じ『タイム』の使い手で、よく比較されるということもその理由の一つだけど(とはいっても私の方が段違いで魔力は強い)
それ以上に…あの全てを見透かしたような目と、口数の少なさが苦手で苦手て仕方なかった。



私は…あの男とは違うのよ。
『有坂華央』は一般人とは異なるの。
この国…ヴァニティーファウンテンで最強の魔力を持ち、最も尊敬され、最も恐れられる女。
私はあなたのような『二番手』じゃない…。
それは確かに誇りだったけど…そんな誇りよりも…ずっと欲しいものがあった。





話したことはなかった。それでもとにかく嫌いだった。


でも…私はちゃんと分かっていた。




あなたを嫌いなのと同じくらい…
私は自分のことも嫌いだったの。




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