アクアマリンの秘密
雪が冷たい。

涙が止まらない私の上に降り積もる雪。

雪が涙に溶けていく。



「華央。」

私のすぐそばに立つ紫紀。

「なっ…何よ?」

私は無理矢理顔を上げた。
その瞬間…



ぐいっと引かれた腕。
そして温かくて私よりも大きな体が私を包む。




「なっ…はな…離してっ…。」

「…出来ない。」

「何言ってるの!?」

「出来ない。いや…違うな。
離したくない、と言った方が適切だ。」

「私は離してって言ってるのよ!!」

「…分かっている。だが…今日は一人で泣かせておきたくない。」

「…勝手なこと言わないで。」

「泣けばいい。」

「え?」

「好きなだけ、泣けばいい。
こうしていれば、お前の泣き顔は見えない。
だから思う存分…泣けばいい。」



さっきよりも距離が近いからなのか、優しく響く紫紀の声。
その声にどこか安心して、嬉しさがこみ上げて来て…


私は泣いた。
大嫌いなはずの紫紀の腕の中で、溶けてしまうほどに…泣いた。

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