アクアマリンの秘密
「改ざん…?しかも…王妃様によって…?」

「そんなこと…。」

「全ての記憶が改ざんされているわけじゃない。
幼い頃の思い出…たとえば星来とのこととかは全て、ちゃんと覚えている。
だけど…。」

「襲われた日の…記憶…だね?」

「…うん。あの日の記憶の一部が…僕の記憶とは大幅に異なっている。」





僕が怖いのは、あの日の記憶を国に着いた瞬間に思い出すのではないかということ。
そして…思い出してしまったら蒼刃は…





「僕は…怖い。
全てを思い出した蒼刃が…自分を保っていられなくなりそうで。
壊れて…しまいそうで。」

「壊れるって…そんなに大切なことを…?」



母上は蒼刃がこのまま『コレ』を覚えていたら壊れてしまうと思ったから、書き換えたんだ。
全く別の『終わり方』に。




「緑志。」

「…?」

「蒼刃が思い出した時に…何が起こるかは分からないよ。
緑志がそんなに言うんなら、きっと蒼刃にとっても緑志にとっても辛い思い出なんだろう。
でもね、緑志。今、蒼刃のそばには星来がいるよ。オレたちもいる。
壊れてしまっても…絶対大丈夫だとまでは言わないけど、力になれると思う。
オレは…まぁきっと微力だけど、星来の力は…大きいから、とても。」

「そうだね…。」



怖いからといって進むのを止めるわけにはいかない。
桃依も白斗も、そして紫紀も…自分の過去を乗り越えてきた。
今度は…僕と蒼刃の番だ。



「先を急ごう。」


覚悟を決めなくてはならない。
前に進むための…覚悟を。



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