恋色の紙ヒコーキ
陽はあたしが止めるのを無視して、話を続けた。

「でもあの時のはるは可愛かったな…
俺と話せないのが辛いとか、俺に彼女ができても俺の友達であり続けたいとか…」

「ちょ…陽っ!!」

あたしは思わず陽の口を両手で抑える。
でも身長差のせいで、いとも簡単にその手は振りほどかれる。


「だってものすごく可愛かったんだよ、あの時のはる。
そんな嬉しいこと言ってくれてるのに、俺の気持ちに気付かないところはちょっと残念だったけど。」

「っていうかそこまで言っておいて自分の気持ちに気付いてないってのも問題よねー…。」

「梨絵!?梨絵はあたしの味方でしょ!?」

「んー…はると陽くんの話に関しては結構陽くんの味方。」

「えーっ!!裏切り者ーっ!!」

「だって…はるの鈍さって犯罪的だもん。
陽くん…偉いと思う、あたし。」

「だよなー…俺もそう思う。陽は偉い。つーか心広すぎる。
なんかタメには思えねぇよな。もう老成しきってる。お年寄りみてぇ。」

「何それ…前半は褒めてるけど後半は…」

「後半も褒めてる!!」

「嘘だよねそれ…。」



過去の自分…
本当に恥ずかしすぎるっ…!!

陽に言われて思い出したけど、あんなことも言ってたんだ…
それなのに陽への気持ちはずっと友情だと思ってたとか…

もうちょっと自分の気持ちを冷静に見直したら、
『ずっと陽のそばにいたい』
って気持ちがどこから出てきたのか、分かったかもしれない。


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