恋色の紙ヒコーキ
「うん…そうだね…
っていうか県外に行くのはあたしだし…。」

「でも、俺、寂しくないなんて思ってねぇよ?
普通に寂しいし、離れたくないってとーぜん思ってる。」

「えっ!?だってそんなこと今まで一度も…。」

「言わなかった。し、言う必要なかった。
寂しいのは、お前も同じ…だろ?」

「…うん…。」

「最初はさ…
俺たちが離れ離れになっちゃうなって話したときに、どうして寂しいとか離れたくないとか言ってくれねぇんかなーって思ってたんだ。
ぶっちゃけ言われない方が寂しいなとか。
だけど違った。
お前、言わないように頑張ってた。
頑張ってただけなんだよな。」


俺は梨絵の頭を撫でた。


「だっ…だって…県外に行くのはあたしだし…それを決めたのもあたしだし…
そんな勝手なこと言えないよ…。」

「うん。
でも、お前は頑張ってた。自分のことも、ちゃんと全部。
分かってるから。お前の気持ちも、本当に全部。
だから俺も言わない。
寂しいとか離れたくないだとか、そういう弱気なことは絶対に。」

「久哉…。」

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