恋色の紙ヒコーキ
「な、俺ら先に帰ろっか。」

「へ?」

「あいつらはあいつらで盛り上がってるし。
陽にメール入れとけば大丈夫だろ。」

「でもっ…。」

「お前がんな顔すんのが悪いんだろー。
そういう顔されると…独占したくなる…いつもより余計に。」

「いやあのっ…。」


あたしの言葉は久哉の唇に飲み込まれた。
久哉の優しいキスの温かさがあたしの全身を包む。

唇が離れたと思ったら、耳元でそっと囁かれる。


「帰ろう。」


すっとあたしから離れると、悪戯っぽい笑顔を向けながら、あたしの手を握ってくる。

あたしは温かいその手をいつもより少しだけ強く握り返す。

でもなんだか手の温かさだけじゃ物足りなくなって、あたしはぎゅっと久哉の腕に抱きついた。


「へっ?」


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