レゾンデートル



「行ってみようよ!気になるし!」


愛琉の言葉に、私達は音の方へ歩き出した。

私達が向かった先には、案の定雛春くんが見えた。
けれど、優羽里ちゃんの姿は見えない。


「うひゃあー!中学生だったんだぁ!」

「しかも一人とか、すげぇな」


来琉と愛琉が小声で感想を述べる。
私はそれに頷いていた。



『あっち こっち どっち? そっち!
 もう一度 チャンス頂戴
 僕が やり切って みせるよ
 君のためだもの ほらね』

『止まってないで 叫びなよ
 分かってるから 君のこと
 だから頂戴 頂戴 頂戴
 たった一つの存在理由』

『お願いだよ 待ってよ
 ほら 頬を抓ってよおくご覧
 僕は一人じゃ駄目なんだ』



雛春くんの演奏は相変わらず凄くて、前に会ったときより格段に上達している気がする。
おまけに歌もかなり上手くなっている。


「上手いねー!」

「おう。でも歌詞がずいぶん大人びてんな、既存曲か?」


雛春くんが歌ってる曲は、確かに誰も聞いたことがなさそうだった。
もしかしたら、彼が作ったのかも知れない。





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