今夜,君と…。
飛日のことなんか右も左もわからん俺は,とにかくがむしゃらに走った。


同じような店が何軒も並び,妖しく賑わってた。


そのとき近くの店から見覚えある女の子が飛び出して来た。


茶色いショートヘアは乱れ,タレ目の目尻をもっと下げて泣いている。


「春っっ!!!」

「よぉぉぉ〜!!!」


俺が春に近付くと,春が出て来た店から男が叫んだ。


「待てや!!ち…!!!?」

男は俺を見るなり慌てて店に引っ込んだ。




…あの男…!!!







俺は混乱する頭を抱えながら春の手を引き走った。








春のことを一度も振り返らずに走り続けた。







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