君しかいらない

あたしを見つめながら

ゆっくりと

押し倒した彼の顔は

苦しそうなほど

切なさで満たされていた。


「莉子…近親相姦って言葉知ってる?」

「えっ…?」


あたしの頬を撫でながら

やけに穏やかな口調だった。


「莉子は…義兄さんに似てると思ってた…

けど…。」

姉さんに似てるなんて口が裂けても言わないで。

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