渦
全身にびっしょりと
かいていた嫌な汗を
流そうと、
少女はベッドから
立ち上がった。
―‥ギシ
慣れ親しんだはずの
スプリングの軋む音が
今日はやけに大きく
響いた気がした。
カーテンを開けると、
雲ひとつない
薄いライトブルーの空
に太陽が煌めいた。
「‥‥ほんと、最悪。」
こんな天気は、
嫌いだ。
今も脳裏に焼き付いて
離れない、
あの人を思いだすから。
快晴の空を一度睨む
ようにして見て、
再び勢いよくカーテン
をしめた。
シャワーの音だけが
残る、
静かな朝
