地味子の秘密 其の四 VSかごめかごめ
ーー陸sideーー

杏が、東雲に帰った日の夜。


「繭ちゃんと和解したよ」


電話が、かかってきて報告を受けた。


ちょっとは暴れたらしい。

さすが、杏。


ついでに、嫌味ばかり言うお嬢様達にも、何かお見舞いしてやれば良かったのにな?

そいつらが文句言ってきたら、俺が対処するのに。



「会長に、ちゃんと気持ち伝えてくる」


電話を切る直前に、そう言われた。


どう伝えるか、悩んでいるみたいだった。

杏が好きなのは、俺のはず。

しかし、笑顔で駆け寄ってくるアイツをこの手で抱きしめなければ……不安は拭えない。


信じたいのに、一度は両思いになった2人。

あの会長が、無理やり杏を襲うことはないだろうけど。

それでも、夏休み……杏の体を知ったらしいし。

アイツに俺の宝物を勝手に触られた事実は変わらない。


一緒に寝たとか、キスしたとか……。

あの笑顔を他の男に向けたと言うことが、非常に悔しくて、腹立つ。

俺だけのもんなのに。


こんなに嫉妬してることを知られたら、杏は引くだろう。

だから、口にすることはなく。胸のうちに収めてるけど……。
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