君が好き




「…ごめん。」


夕樹先輩は手を緩めた。そして、私の方を向いて、


「今まで、ごめん。でも、俺が好きなのは璃子だけだから。だから、彼方には渡したくない。」


そう言ってくれたのが嬉しくて、涙が溢れた。今まで心のどこかにしまってあった不安が、一気に溢れ出した。


「私…私も、夕樹先輩が…大好きだよっ…。」


夕樹先輩は、優しく抱きしめてくれた。

「っ……」。


彼方先輩は教室を出て行った。




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