2匹の蝶々

「授業は?」
「教室移動で、誰もいなかったの。音は?」


首を傾げる心。


「俺のクラスは体育」
「そっか」


心は笑い、しゃがんで俺の目線と同じところにくる。


…ヤバい。

また、泣きそうだ。


俺はいつからこんな泣き虫になったんだ??


「…授業受けな」

これ以上、心といると。


俺が泣き崩れてしまう。

そんな姿、心にだけは見せたくない。


「え…」
「俺も授業受けるから。1時間サボった分」

そんなの嘘だけど。


心は納得していないようだったがコクリと頷いた。

「じゃあね、音」
「ああ」

そして、心は教室を去った。


「っ…」

と同時に溢れ出す涙。


「ちっくしょ…泣いてんじゃねーよ…」

ダサすぎだよ。


俺は、授業終わりのチャイムが鳴るまで泣き続けていた。


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