君の瞳が愛をささやく
莉緒
『じゃあまた明日。』


陸が電話を切った。


ツーツーと音が響く携帯を耳から離せずにいた。


今日は元気そうな声してたなぁ…


一昨日は疲れきった声を、必死で隠しながら電話をかけてくれた。


忙しいなら電話に出なくても良いのよ?


忙しいなら電話をかけてくれなくても良いのよ?


疲れてるなら断って良いのよ?


頭の中でなら繰り返し言えるその一言が、いつも陸に言えないでいる。


はぁ…


軽くため息をついてから窓を開けた。


隣の家には、今日も明かりがなかった。


お父様はホテルに泊まられてるのかしら…


最近お父様は家に帰っていない。


一人になる家が辛いのか、一人で思い出す奥様の事が辛いのか…


陸に会いたくないのか…
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