君の瞳が愛をささやく
去年お母様が亡くなられた後、お父様は私に合い鍵をくれた。


『もし暇な時があったら、時々家に新しい空気を入れてくれないか?』


そう言う名義だったけど…


『もしあいつが…
いや、何でもない。
すまないね、莉緒ちゃん。』


困ったように笑ったお父様はきっと…


『陸が帰ったら、よろしく頼むよ。』


そう言いたかったんだと思う。


本当はお父様だって陸を大切に思っているし、陸だって本当はお父様に会いたいんだと思う。


でもお互いに、一歩が歩み寄れなくて…


私は窓を閉めて、カーテンを閉じた。


二人に何か出来れば良いんだけど…


私は携帯を机に置いて、椅子に座った。


明日、陸にノートを渡さなきゃ。
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