君の瞳が愛をささやく
入院してから早いもので半年が経ってしまった。


日々変わらない景色を窓から眺めていると、一日という感覚が薄れていくような気がした。


規則正しい生活、日々の検診、辛い治療…


でもその全てに生かされていると思うと、なんとも言えない気持ちになる。



あの日、成田教授から留学の話をされた。


前々からそれらしい話は聞いていたけれど、正式に打診されたのは初めてだった。


『色々と思うところはあるだろうが…君の人生だ。
よくよく考えてから、返事をして欲しい。
良い答えを期待しているよ…。』


正直嬉しかった。


今度こそと思う気持ちもあった。


でも…陸の顔を見たら、何も言えなくなってしまった。
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