君の瞳が愛をささやく
俺はかなり恵まれていて、望めば何でも手に入るような気さえする。


でも…


この世界に入ったから捨てたものもいっぱいあった。


まずは学校。


俺は高一でこの世界に来てしまったから、まともに授業を受けていない。


進学したかった大学は諦めるしかなさそうだ。


次に友達。


前の高校のやつらは、まだ付き合いも浅かったからそのまま距離が出来た。


今の学校は芸能クラスだから、そんなに付き合いもない。


最後に家族。


俺の芸能界入りを最後まで反対していた母親が去年亡くなった。


母親の葬式以来、実家には帰っていない。


もう二度と父親とは会えないと思っている。


…俺は親不孝な息子だ。
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