ピクシーホルン
「お待ちしておりました」
王宮へ呼ばれたナタリーはある部屋に通された。
「獣医博士ナタリー・クレア。こちらがライリー・サイカ・デヘリッヒ・ミシェラ王とアイナ・デヘリッヒ・ミシェラ王妃であられる」
「ミシェラ陛下、ミシェラ妃。私は獣医博士、ナタリー・クレアと申します」
「うむ。クレア獣医博士よ。我が名により命ずる、精霊神獣、鳥族の怪我を治し、生態を調べよ」
「…偉大なるミシェラ王よ。それは《絶対禁忌》と知っての御命令ですか」
「…そうじゃ。さきの商船のような禁忌を破る者がいては神、精霊神獣がこの世界を荒らすだろう。防ぐためには必要なことだ。獣医博士には悪いが有無は聞かん。命令だ」
「…御、意」
―なんて王だ。荒らすことがわかっていながら、なぜ怪我を治すだけではいけないのか…ドビシーを留めてはいけない―