ピクシーホルン


宰相アレン・トールの案内によってナタリーは王宮奥の塔《伯東の離れ》に来た。


―助けて!!
―いたいよ…パパ!ママ!
―たすけて…怖いよお


ナタリーは塔に近づけば近づくほど頭の中に声が響いていた。
声は宰相には聞こえていないのか、平気そうに歩いている。


響く声がナタリーの頭を裂くように聞こえていて、歩くのもやっとだった。


急に、その声は止んだ。


塔の最上階に着くと、扉の前に汗だくの兵二人が座りこんでいた。


「おい、何をしてる」


「はっ!申し訳ありませんっ。実は急に暴れ出したので、麻酔を打ちました」


聞こえてきた声に兵士は、慌てて態勢を整える。


「何ですって!!精霊神獣に麻酔を!?」


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